箱根旅行(1日目:ロマンスカーと温泉)
ものすごく鬱なので、またもツナマヨさん(※)と旅行に行った。今度は温泉旅行である。あの、第3新東京市がある箱根である! NERV本部のある要塞都市がある、あの! あの箱根である!
※ツナマヨさん
わたしの好きな人。結構な感じでわたしのことを好き。
苦手なものは最初に食べる派。
ロマンスカーに乗り込み、進行方向一番前の席をふたりで陣取る。
これが…ロマンスカーの…車窓!!!!(わたしはちょっとした鉄オタでもある)
車内販売のお姉さんから当然のようにビールを2缶買うと、2枚のコースターをくれた。アニメキャラクターの絵が描いてあるようだが……?
なんだ、お前か。
(わたしは大のアスカ好き)
わたしの名推理によると、おそらく、車体のカラーリングの一番近いキャラクターのコースターがもらえるのであろう。そうに違いない。
今回乗ったのは「EXEα(30000形)」という、公式HPによると「シャープで明快なムーンライトシルバーとディープグレイメタリックの2色のボディカラーに、ロマンスカーの伝統色であるバーミリオンオレンジのラインを配置」した、まあつまり、地味なカヲルっぽい色だった。
ならば、赤い車両に乗ればアスカのコースターが手に入るに違いない! 早速、帰路の分の切符を予約購入をした。この「GSE(70000形)」でビールを買えば(ビールじゃなくていいだろ)、アスカのコースターがもらえるはず!
到着まで一時間以上あったので、ビールを飲みながらツナマヨさんと談笑していると、通路を挟んで向かい側の空席に4、5歳と思われる兄弟ふたりが来た。一番前の席に座ってはしゃいでいる。かわいい。
この兄弟の様子を見ていると、兄は人懐こく快活なおしゃべり者、弟は人見知りだが動作が完全におっさん、という良い凸凹コンビだった。
ふと、少年(兄)の手元を見ると、なんと、ロマンスカーのステッカーを手にしている!
「ちょっと見せてもらってもいい?」
わたしの意を汲んでくれたツナマヨさんが声をかけると、「いいよ」と少年(兄)は快くステッカーを見せてくれた。いいなあ。買ったのかなあ。子どもはもらえるのかなあ。かっこいいなあ。やっぱ青い車両の方がロマンスカーっぽいよなあ。しばし眺めさせてもらった後、少年(兄)に「大事なもの見せてくれてありがとうね」と返した。
その間、少年(弟)は左手を首の後ろを揉みながら、右手でランチパックを貪っていた。おまけにあぐらまでかいている。完全におっさんである。
少年たちとも談笑しながら、ロマンスカーはどんどん田舎へと向かっていく。
ロマンスカーとツナマヨさんの写真を撮ろう。そう思って、フィルムカメラのシャッターを向けると、少年たちもピースしてくれた。
少年たちが小田原で降りた後、わたしたちが箱根湯本に到着したのは、昼過ぎ頃であった。
事前に旅館から送られてきていた案内によると、15分に1回の間隔で送迎バスがあるらしい。1日目は宿で温泉と酒を楽しむと決めていたわたしたちは、バスに乗る前に箱根湯本駅でつまみと酒を調達した。
ビール瓶6、7本、500mlの日本酒3本、梅、梅水晶、かまぼこ、ポテチ、干し魚のスナック菓子などを買い込んだわたしたちは、バス停へと向かった。(どう考えても買いすぎである)
しかし、ここで事件は起きた。
なんと、新型コロナウイルスの影響がうんたらかんたらで、バスの便数が激減していたのである! そういうのはさあ、事前に送ってくれた紙に書き足しといてくれないとさあ…。若干苛立ちながら、次のバスを待った。しかし、満員で乗れない。
これなら、歩いた方が早いのでは?
そう思ったのが悪夢の始まりだった。
わたしは、全ての飲料(酒しかない)をリュックに詰め込み、サブバックを取り出し、ツナマヨさんと分け合ってつまみ類を入れた。おそらく、リュックの重量は7kgを超えていたと思う。
初めは良かったのだ。川沿いに並ぶ旅館やホテル、蕎麦屋などを眺めて「わー! 温泉にきたー!」とはしゃいでいた。
★まだはしゃいでいる時の写真
しかし、道はどんどん登り坂になっていく。なのに、途中で我慢できずにお土産の和菓子を買い足して荷物を増やす。肩が痛い。足が重い。この景色もそろそろ見飽きてきた。一体どこまで登るんだ…。バスの路線図を見ると、わたしたちが目指しているホテルは終点の1個手前を示していた。一体、何分かかるんだ…。
やっとホテルに到着した。入り口で名前を言うと、「別館の方になりますので、8階までエレベーターで上がっていただき、そのまま案内通りに歩いていただくとお客様の客室に着きます」と言い出した。
別館か。いいだろう、エレベーターに乗れるなら、いいだろう。
しかし、エレベーターを降りた後、そこからまた5分ほど歩かされる羽目になった。しかも、最後は登り坂である。もう無理。死ぬ。たすけて。まだ温泉に入ってないのよ、わたし…。ここで死ぬわけには…。(ただ酒とつまみを買って歩いただけで死にたくないわたしの心の叫び)
ようやくわたしたちの客室について、しばし放心した。虚無。窓からの眺めがきれいだ。あそこを登ってきたんだな…と感慨深くなる。
「泥酔の方のご入浴はお断りします」との注意書きがあったため(そりゃそうだ)、ツナマヨさんとふたりでビールを2、3本空けてから温泉へ向かった。
露天風呂、気持ちいいーーーーーーーーーー!!!
なんか、泡が下から出てくる、なんか、寝転ぶやつ、気持ちいいいいいいい!!!!!
温泉サイコーーーーーーーーーー!!!!!
「お腹すいた」
「ねー」
「ラストオーダー終わっちゃったかな」
朝食も夕食もない素泊まりプランで予約していたくせに、つまみ以外の食料を持っていない。ただのあほである。宿の温泉が入っている建物は日帰り客も多く受け付けているらしく、そこに併設されているレストランで食べればよかろう、と思ったいた。だが、それももうかなわない。ラストオーダーの時間はとうに過ぎている。全てはあの登り坂のせいである。
一旦、客室に戻って作戦を立て直したわたしたちは、「本館」に行ってみよう、ということになった。わたしたちの泊まっているここは「別館」なので、本館には何かあるかもしれない。そんな微かな期待を抱いて本館へ向かった。(もちろんまためっちゃ歩かされた)
すると、どうだろう。本館の地下に、スナック、ゲーセン、ラーメン屋があるではないか! 人気がなさすぎる! とってもバブルを感じる! ちょっと不気味!
スナックは営業していなかったので、ラーメン屋さんに入る。風呂上がりの浴衣姿でラーメン屋に入るのは初めての経験だ。そこは、20人程度の客席の小さなラーメン屋…と言うよりも、居酒屋に近い店だった。先客が1組おり、10人ほどで宴会をしている。
ツナマヨさんはお茶漬けを、わたしはラーメンを注文した。すると、なぜか店員に「お茶漬けとラーメン…で、よろしいんですか?」と聞かれる。確認ではない。「お前ら、こんな注文で本当にいいのか?」という訝しげな様子で聞いてくるのである。「そうです」と答えると、店員は厨房へと戻っていった。
そこそこ不味いような、そこそこ美味しいような、微妙なラーメンを食べた。ツナマヨさんは「最高!」と言ってお茶漬けを食べていた。
会計はふたりで1800円弱。なんと、別館の宿泊客でもサインでフロント付の支払いにしてくれるらしい。え、かっこいい! やってみたかった! サインだけで支払うやつ! わーーーい! なぜか厨房を少し入ったところに連れて行かれてサインを書いた。温泉宿に来て浴衣姿でラーメン屋の厨房でお茶漬けとラーメンの料金をサインで支払う。意味のわからない光景である。
ラーメン居酒屋を出たわたしたちは、ゲーセンへ向かった。あらゆるゲームが古い。そして、めちゃくちゃ照明が暗い。明らかにバブル期のものである。一番奥でスロットをひたすら回している青年以外、誰もいなかった。
パチンコをやろうとしたら景品切れでできなかったので、モグラ叩きならぬ「ワニ叩き」をやった。ワニがひょいひょい出てくるのをでっかいトンカチで高速叩くあれである。
挑戦者1人目、ツナマヨさん。なかなか調子のいい滑り出しである。全てのワニを叩き潰している。が、ワニも負けてはいられない。少し間に合わなくなってきた。すると、おもむろに左手を使って素手でワニを叩き出したではないか! 右手にトンカチ、左手は素手である。90匹のワニを退治したツナマヨさんは大得意だった。なんと、今日のベストスコアらしい。他にもやった奴、ほんとにいるのかよ。
挑戦者2人目、わたし。わたしは、最初から両手で勝負に挑むことにした。しかし、これがなかなか難しい。左手を強く握っておかないと、ぱふんっとワニが笑うだけで倒せないのである。左の手のひらを大きく開いて力を入れ、まるで音ゲーかのように叩きまくった。スコアは91。勝った! 今日のベストスコア!
金しか持って行っていなかったため、写真がないのがとても惜しい。あのレトロゲーセンは一体いつまで稼働するのだろうか。
客室に戻って、酒をひとしきり飲んでから寝た。幸せだな、とふと思った。
明日は、箱根登山鉄道に乗る予定だ。モハ1形、乗れるかなあ。楽しみだなあ。