太田あさひの日誌

旧・中西香菜さんがおすすめの映画をひたすら観るブログ。アンジュルムの中西香菜さんがおすすめする映画の感想だけでなく、旅行や考えごとについて書き残す。

『時を超える:美の基準 世界遺産 二条城と現代日本美術の対話から』感想

清水寺でやっていた展覧会『CONTACT』があまりに残念だったので、その足で二条城に行った。単純に二条城を見たかっただけだったのだが、たまたまやっていた現代アート展が大当たりだったので、感想を残しておく。

 

やっていたのは、『時を超える:美の基準 世界遺産 二条城と現代日本美術の対話から』という展覧会。この展覧会のテーマは「歴史との対話」。二条城の歴史と聞いて、わたしがまず思いつくのは大政奉還徳川慶喜が大広間(?)で大政奉還するシーンはテレビや教科書でお馴染みだ。二条城は、大政奉還のほかにも、1603年の築城から様々な歴史的場面の舞台となっている。その二ノ丸御殿台所と御清所の空間を展示スペースにしていた。

まず、台所に入ると、壁を大きなスクリーンにした映像作品。

名和晃平《Tornscape》(2019)

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大迫力でかっこいい。大きな柱や梁から二条城自体の迫力も感じられ、場と作品の相乗効果が凄まじい。解説によると、「方丈記」の無常感をテーマにしたものらしい。掴みから最高にワクワクして、一気に惹き込まれた。

台所の奥へと進むと、

ミヤマケイ《誰が袖》(2017)

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これこれ。これが見たかった!二条城の台所に展示するからこそ映える作品。中央奥の屏風の無機質な感触と、散りばめられた工芸品の対比が楽しい。解説によると、作家は「日本人の繊細な美意識や感覚を、工芸から人工知能のようなテクノリジーまで手工芸品として同列に扱い、過去、現在、未来をつなぐことによって、物事の本質を問う作品を主体とする」らしい。わかる。

また、御清所へ進むと、広い空間、ガラスの彫刻、庭から聞こえる音楽と詩の朗読が静かに調和している。

青木美歌《煙庭》(2019)(画面左のガラス作品)

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小部屋にも、いくつか作品があった。

向山喜章《ヴェンデータ53 - 薫風/くんぷう》(2018)、《ヴェンデータ11 - 光明/こうみょう》(2017) 、《ヴェンデータ11 - 月影/つきかげ》(2017)

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外からの光を反射して幻想的に光っている。作品そのものだけなく、周囲の空気を含めて感じられる作品だ。

チームラボ《生命は生命の力で生きている》(2011)

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花鳥風月を表す掛け軸がモニターに映し出されている。圧倒的「和」と「歴史」の空間と、「デジタル」で「絵柄が動く」掛け軸の組み合わせは最高だった。ハリー・ポッターの世界観を東アジアで再現すると、こんな掛け軸がありそうだなあ、とぼんやり思った。

 

この他にも、初音ミク伊藤若冲を組み合わせた作品や鹿の剥製を泡のようなガラスで覆った作品(おそらくこれが目玉)など、全13作品すべて楽しかった。

二条城の空間と現代アートが見事に組み合わさった素晴らしい展覧会だった。これを清水寺でも観たかったんだけどなあ…。