太田あさひの日誌

旧・中西香菜さんがおすすめの映画をひたすら観るブログ。アンジュルムの中西香菜さんがおすすめする映画の感想だけでなく、旅行や考えごとについて書き残す。

『ポーラ美術館×ひろしま美術館 共同企画 印象派、記憶への旅』感想

ひろしま美術館で開催中の展覧会『ポーラ美術館×ひろしま美術館 共同企画 印象派、記憶への旅』へ行ってきた。

ポーラ美術館もひろしま美術館も訪れたことがないので、お初にお目にかかる絵がほとんどだった。両館とも保有している作品のセンスがとてもよく、大満足の展覧会だった。

 

まず、作品を観る前に、ひろしま美術館のオシャレなこと!大きな道路に面しているが、とても静か。エントランスを抜けた中庭のような場所にある円筒状の建物がまあオシャレである。もちろん、中は展示室。円筒状の建物をぐるりと囲む回廊、回廊の外側には池やら噴水やら・・・。もうこれだけで素晴らしい美術館なのがわかる。

ホームページによると、

「愛とやすらぎ」をテーマに掲げたひろしま美術館の本館は、原爆ドームをイメージした丸いドーム型の展示室になっています。そして本館を取り巻く回廊は、厳島神社の回廊をイメージして造られました。いずれも世界遺産でもあり、広島を代表する建物をモティーフにしています。

引用元:美術館について - [ひろしま美術館]

とのことである。確かに、原爆ドームのてっぺんの部分は緑色をしていた、という記述を読んだことがある。形もそっくりだ。そこに厳島神社の回廊。広島、やるな。

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まだ8月末なのにもう紅葉が始まっていた。と思っていたが、どの写真を見てもこの葉色なので、こういう木?

 

早速、展示室に足を踏み入れると「撮影可能」「お手持ちのスマホタブレットで作品の解説が読めます」との案内板が。スマホ片手にのんびり回ることにした。スマホで読める作品解説がなかなか見事で、作家の紹介、全作品の解説、見どころポイントを読むことができた。おそらく、ひろしま美術館独自のシステムなのだろうが、ポーラ美術館所有の作品にも解説が付いており、抜かりがない。

展覧会のタイトル通り、印象派の作品(しかも有名どころの作家ばかり)をゆったり並べて観ることができる最高の空間だった。

 

◾️今日出会った作家

ラウル・デュフィ《パリ》

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マルク・シャガールの混沌とした画面と独特の青色、人物の輪郭が好きなのだが、このデュフィの作品にも似たものを感じ、パッと見で気に入った。「シャガールマティスか?」と思ったら、ラウル・デュフィ。うーん、知らなかったなあ。

なんと表現したらいいのだろう、この亡霊感が好きだ。青くて紫の世界、中央のエッフェル塔と太陽の大胆さ、朝と夜が同じ画面にある構図、浮かぶように見える建物、巨大なバラのモチーフ。混沌としているけれど、どこかまとまりがあって、なんだか恐ろしいような雰囲気もあり、それでも街はきれいで。いいなあ〜。こんな絵が描けたら大興奮するんだろうな。知らんけど。

デュフィの作品はもう1点展示してあったが、そちらも良かった。競馬場の緑色の鮮やかさと多くの観客の熱気が独特の筆致で表現されていてとても良かった。

調べてみると、汐留美術館で10月から展覧会があるようなので行ってみようかな。 

 

◾️いちばん気に入った作品

フィンセント・ファン・ゴッホ《ドービニーの庭》

 (写真なし!ポストカード買えばよかった!)

なんでも、この絵には謎があるようで、その解説ありきで観るととてもおもしろい。

謎1つ目。左下に謎の濃い部分があるが、これは何者かが黒猫を消した痕。なぜ消されたのかは不明。ゴッホの死後10年間は黒猫が存在していた記録が写真に残っている。消した当時は同じ色をしていたが、経年で色が変化し、周囲の絵の具と異なる色合いになってしまったと考えられる。ゴッホは生前にはあまり評価されていなかったらしく、不吉を連想する黒猫を消して売ろうとした説もあるらしい。

謎2つ目。上下左右に書き加えの痕がある。ゴッホ本人がやったのか、別の人がやったのか、判明していない。額縁に合わせて拡張したという説が濃厚である。

意味不明すぎて笑う。特に黒猫。なぜ描いた?

絵画自身が持つ歴史によって、しかも作者の死後に起きた「描きくわえ」によって、絵画の魅力が増している。とても興味深く、解説を読みながら10分間以上は観入っていたと思う。黒猫があったらこんな感じ!という複製模写もあっておもしろかった。

 

ひろしま美術館、他にも良さげな作品を所蔵しているようなので、時期をずらしてまた行こうと思う。楽しかった!