『CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート』感想
世界遺産・清水寺で8日間のみ開催されるアートイベント、『CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート』に行ってきた。
このイベントは、作家の原田マハさんが総合ディレクターを務める「近代から現代に至るまで、日本と世界の芸術・文化が交信(コンタクト)し、影響を与え合い、発展してきた過程を見つめる展覧会」である(公式HPより)。開催場所が、清水寺ということで、一体どんな展示なんだろう、と楽しみにしていた。同行者は、この展覧会のために原田マハが書き下ろした短編集『20CONTACTS 消えない星々との短い接触』まで読んでいくほど楽しみにしていた。
しかし、結果は、拍子抜け。展示作品よりも、「成就院」や「経堂」などのふだんは非公開の重要文化財の方が素晴らしい。それも、展示作品と相乗効果を生んでいるわけでもなく、正直、どう見たらいいのかわからない。
ゲルハルト・リヒターの映像作品は、閉め切った部屋のなかで40分間ぎゅうぎゅう詰めで、空調もなく、暑くてとても観ていられない。何人かがパタパタと扇子であおぐ姿が視界に入って集中できなかったが、わたしだって扇子を持っていたらあおぎたかった。というか、単純に作品自体がつまらなかった。ゲルハルト・リヒターを楽しむには、わたしはまだ早かったのだろうか。ううむ。
あと、書かずにはいられないのが、当日運営の甘さ。これがこの展覧会のおもしろさをかなり奪っていたように思う。
事前にチケット数を制限をしていたにも関わらず、当日1時間ほど並んで展示スペースに入り、急かされるように作品を観なければならない。さらには、整理券をもらわなければ観れない作品まであり、もちろん整理券は枚数限定である(人数分の整理券はない)。わたしがいちばん納得がいかなかったのは、スタッフによって言うことが異なっていたこと。数カ所ある展示スペースを効率よく回るために、スタッフに時間制限について質問をした。ある展示スペースの入り口スタッフが「●●時までに並べば全員観られます」と言ったので、他の展示スペースをゆっくり観てから●●時に行くと、「時間制限があるので急いでください」と言われて20点程の作品を数分で観るはめになり、整理券が必要な作品に至っては観ることすら叶わなかったこと。なんだそれ?って感じだった。お金払ってるんだけど…?スタッフ同士の意思疎通取れてないのかな。それとも、予想外の混み具合だったのかな。
他にも同じような文句を言いながら歩いている人がたくさんいて、本当に運営状況がやばかった。このような運営の混乱がなく、ゆっくりじっくり楽しむことができる展覧会だったら、わたしの感想はまた違ったかもしれない。
◾️いちばん気に入った作品
(こちらの作品は外の展示なので一般の観光客も自由に観ることができる。ストレスフリー!)
「ふだんからここにあるのでは?」と思うほどのベストマッチ。色合い、
それもそのはず、この展覧会のために加藤泉さんが製作したものらしい。ぴったり!楽しい!こういうのを観たかった!西門に溶け込みつつ、異世界感を漂わせる、素敵な作品だった。
加藤泉さんの作品でもうひとつ。こちらも《無題》であるが、馬駐の作品。
これも、「元からここにあったのでは?」と思うほど溶け込んでいる。それでいて、民俗学っぽさを感じる作品。ワクワクした。