太田あさひの日誌

旧・中西香菜さんがおすすめの映画をひたすら観るブログ。アンジュルムの中西香菜さんがおすすめする映画の感想だけでなく、旅行や考えごとについて書き残す。

鎌倉・江ノ島旅行(1日目:ビールとわたしの好きなひと)

ツナマヨさん()と鎌倉・江ノ島へ2泊3日の旅行をした。わたしは調子が悪く、電車に乗るのが難しかったのだが、ツナマヨさんが「電車に乗ったその先」の楽しみをたくさん与えてくれたので、わたしはツナマヨさんとふたり並んで電車に乗り、鎌倉へ向かった。

 

ツナマヨさん

わたしの好きなひと。職場の先輩。

転職して3ヶ月の間、わたしの育成を担当してくれていた。

わたしが過酷な労働環境から脱出して、初めて親しく接した人物のため、勝手にとても信頼している。

 

鎌倉駅に着く。

Go To キャンペーンを使い格安でとったホテルは、それはそれは新しくて清潔で広くて落ち着いたホテルであった。チェックイン時刻前に着いたため、荷物のみ預けて八幡宮にでも行こうと考えていたら、なんと清掃の終わった部屋があるため、もう開けてくれるという。しかも、なんか、ホテルマン的なお姉さんがエレベーターまで案内して送ってくれる。いつも一人旅では8人部屋の湿った薄暗いドミトリーなどに泊まっているわたしは、それら全てに仰天した。これがホテルというものなのか。

客室に入り、さらに仰天した。キングサイズベッド(ツインルームを選ばなかったのはわたしのささやかな策略である)の奥に、詰めれば4人ほど掛けれそうなソファと小さなテーブルがある。夜はあそこで酒を飲もう、とすぐに思った。きっと、ツナマヨさんも思ったに違いない。

 

部屋の広さと清潔さに感動してすぐ、わたしたちは昼食をとりに出かけた。腹が減っていた。ツナマヨさんは生魚が苦手なので、生しらすを食べることができない。鎌倉に来て、しらすを食べない。そんなことがあってはならない。なんとか熱の入ったしらすを見つけて食べてやる。飲食店は無数にあったが、なかなか「これ!」といった店が見つからない。もうここでいいか、と入ったイタリアンの店は満席のため待たなければならなかったが、空腹が限界値に達していたわたしたちは、他の店を探すのも億劫なので、待つことにした。人ひとり通れる狭い階段を上ってすぐ左に入り口のドアがある。踊り場などあってないようなものだ。しかも、そのあってないような踊り場の脇にトイレがある。コロナ云々のため、わたしたちは、そのあってないような踊り場で暑い中待たなければならなかった。店内からトイレに行く客が出てくるたびに背伸びをして小さくなってみたり、一段階段を降りてみたりして、なんとかスペースをつくる。食べ終わった客が通るときも同様である。

 

お店の狭い階段の写真


 ようやく案内された店内で、しらすのなんとかパスタと、ビールを注文した。パスタはガーリックが効いており、しらすも身がたっぷりでとても美味しかったが、ビールの写真しか撮っていない。

 

なぜか鎌倉のビールではなくイタリアのビールの写真

これが旅の始まりかと思うと、自分の肝臓が心配になった。

わたしたちは、旅の間中、常に片手に鎌倉ビールや江ノ島ビールなどといったご当地ビールを持っていた。そして、ツナマヨさんは、旅の間中、毎日ヘパリーゼを飲んでいた。

 

とにかく、食べ終わって店を出て、鎌倉ビールを1本ずつ買ってから、八幡宮へ向かった。

八幡宮の境内を歩き回っている間、曲がりなりにも中学校社会科の教員免許を持っているわたしは、ツナマヨさんに様々な問題を出題した。「鎌倉幕府が成立したのはいつ?」「鎌倉幕府の第一代将軍の名前は?」「北条氏がした政治は?」「御成敗式目とは?」などなど。ツナマヨさんは、そのほとんどに正解した。わたしの出した「いい国作ろう?」などのヒントのおかげである。「もうー、わたしのこと馬鹿だと思ってる」と拗ねるツナマヨさんに、「馬鹿じゃないけど、勉強は苦手だと思ってる」と返した。

 

生きものが好きなツナマヨさんは、鯉や亀と戯れて喜んでいた。

亀の写真をとるツナマヨさん

八幡宮を一通り歩き回って脇から外に出ると、北条何某の墓とやらへの矢印がある。のんびり歩きながら北条何某の墓へ向かった。長い階段を上ると、なんかすごい昔の、なんか偉そうな感じの人の、めちゃくちゃ手入れされていない墓がポツンとある、草むらに出た。ポケモンの1匹でも出そうである。始めは墓はお堂の中にあったらしいが、どうしてかそのお堂はなくなったらしい。かわいそうに。しばらく草むらをうろついて、わたしたちは鎌倉のメインストリートへと戻った。

 

ビールを飲んだり、ソーセージを食べたり、煎餅を買ったり、トトロのシャボン玉を買ったり、江ノ電の手ぬぐいを買ったりしてから、コンビニで大量の地ビール仕入れてホテルに戻った。

 

「お風呂のドア、すけすけだねー」とツナマヨさんが言っている。しかも、脱衣所はないので、ベッドがある場所から着替えの様子が丸見えである。引き戸を閉めて仕切るしかないのだが、その引き戸になぜか細い隙間が開いていて、そこから脱衣の様子が垣間見える。わたしが「一緒に入って洗ってあげよっか」などと茶化してみると、ツナマヨさんは「いやですー」などと言いながら風呂場へ消えていった。わたしは理性ある大人なので、おとなしく寝転がって森高千里の『渡良瀬橋』などを歌って順番を待っていた。すると、「あさひちゃーん」と呼ぶ声がする。のぼせでもしたかと思い様子を見にいくと、湯船に浸かったツナマヨさんがトトロのシャボン玉を吹いて遊んでいた。

 

「あさひちゃんもおいでー」

 

そこからのわたしは素早かった。このチャンスを逃してはならない。慌ただしく下着とタオルとお風呂セットを準備して、浴室に入った。ちょっと恥ずかしいな、と思いながら頭と身体を洗ってから、一緒に湯船に浸かる。じゃぶーんと湯が溢れる。わたしは、中トトロと小トトロの2つセットのシャボン玉の片方を手に取り、シャボン液ではなく、水を吸わせる。そして、一気にトトロをつぶして水鉄砲を発射した。もちろん、ツナマヨさんの顔面に、である。そこから、激しい攻防が始まった。旅先と何の関係もないアニメ映画のキャラクターのシャボン玉を水鉄砲にしてお風呂で戦うふたりの大人。その奇妙な状況をふたりで楽しんでいるとき、ふと、「デートしてるんだ、わたしたち。恋人同士みたいに」と思った。恋人同士ではないけれど、恋人同士みたいな戯れをしている。うれしくて、さみしかった。

 

夜の記憶はほとんどない。とにかく酒を飲んで、楽しく話して、たまに激しく不安になって、また楽しくなって、どんどん好きになって、不安で苦しくなって、の繰り返しをしていた。

明日は江ノ電に乗る。それを決めたことだけは覚えている。また、明日も一緒にいられるんだ。それが、ただただ、うれしかった。