好きな人のお芝居を観て、もっと好きになった話
先日、好きな人がお芝居をするところを観た。とてもよかった。もっと大好きになった。
好きな人、というのは、職場の先輩である。そうめんにツナマヨを入れるらしいので、ここでは「ツナマヨさん」と呼ぶことにする。
※ツナマヨさん
わたしの好きな人。片思い。
職場の先輩。とにかく優しい。かわいい。髪の毛がふわふわ。目がくりっとしている。
ビールが好き。でも弱い。疲れたときはチューブの生クリームをそのまま食べる。
今日は、ツナマヨさんを好きになったきっかけとか、どれくらい進展しているのかとか、そんなのはどうでもよくて、「好きな人がお芝居してる姿、めちゃくちゃよくない?」って話をしたい。
ツナマヨさんは、今まで演技経験が0の方なんだけども、特徴的な声と愛嬌と高い共感力があるので、「あのね、今度お芝居に出るんだ〜」と聞いたとき、わたしは舞い上がった。「え、そんなん絶対最高やん」と思った。
結果、本当に最高だった。
ツナマヨさんは「わたし、最後にちょろっと出るだけだから」「あんまり期待しないでね」と話したり、本番直前に「緊張する」とLINEを送ってきたりと、とにかく自信がない様子だった。
実際、出番は少なく、少しのナレーションと1つのセリフ、という役割だった。しかし、だ。これがもーーーーーーんのすごくよかったのだ。
生配信の朗読劇で、役者が入れ替わり立ち替わり画面に登場し、朗読する、という形式だった。
開始から70分ほど経過した頃だろうか。ついに、ツナマヨさんが画面に登場した。とても緊張した面持ちで、下ばかり向いている。頑張れ、ツナマヨさん! 観てるよ、ツナマヨさん! わたしは心の中で応援する。
物語は佳境に差し掛かっているところで、どんどん緊迫感に包まれていく。そこで、ふわっと少しの間が空き、ツナマヨさんのナレーションが始まった。その瞬間、場の空気が変わったように感じた。実際、ナレーションの内容も、美しい情景を描写するもので、緊迫感溢れるシーンから場面が変わるところであったこともある。けれど、それだけではなくて、わたしの好きな人が、何かを伝えたくて、一生懸命に、心を込めて、美しい言葉を発している、ただそれだけでわたしは画面から目が離せなくなった。「恋、しちゃってるわ」と思った。
その後、物語は終わりに向けて再び緊迫感を持って走り出す。どんどんスピードを上げていく物語は、どうやらハッピーエンドとは逆方向に向かっているらしかった。そして、突如、夢のような楽しい時間が幻のように消える。主人公の少年は、突然消えた親友と慌てふためく大人たちの様子を見て、混乱する。そこへ、ツナマヨさんの役の少年・マルソが駆け込んでくる。
ジョバンニ 、カムパネルラが川へ入ったよ。(中略)ザネリがね、船の上から烏売りのあかりを水の流れる方へ押してやろうとしたんだ。そのとき舟がゆれたもんだから水へ落っこったろう。するとカムパネルラがすぐ飛びこんだんだ。そしてザネリを船の方へ押してよこした。ザネリはカトウにつかまった。けれども、カムパネルラが見えないんだ。
わたしには、必死でジョバンニを探してやってきて、緊急事態に心臓がバクバクして、焦りで血の気が引きながらも、なんとか伝えなければ、なんとか助けなければ、なんとかしなければ……、そう思って伝えるマルソが見えた。純粋に、いい演技だったと思う。迫真だった。
そして、わたしはますますツナマヨさんのことを好きになってしまったのだ。優しくて、温かくて、なんでも肯定してくれて、ぎゅっと包んでくれるツナマヨさんにも、こんな激情が存在する。そのことに気づいて、もっともっとツナマヨさんのことを知りたいと思った。もっといろんなお芝居をしているところが見たいし、ツナマヨさん自身の心にもっと近づきたいと思った。
お芝居って、いいなあ。好きだなあ。
あーーー、ツナマヨさんの彼女になりたいなあーーーー!!!!!!