太田あさひの日誌

旧・中西香菜さんがおすすめの映画をひたすら観るブログ。アンジュルムの中西香菜さんがおすすめする映画の感想だけでなく、旅行や考えごとについて書き残す。

『千と千尋の神隠し』ネタバレ感想

中西香菜さんのおすすめの映画を観て感想を書くためのブログのはずが、美術館やら小説やらの感想しか投稿していない。おかしい。

これには訳がある。数日前から中西香菜さんのブログをデビュー時から順に読んで分析することに夢中になっていることと、最近のブログで映画の感想がなかなか出てこないことと、出てきてもAmazonプライムで観れないものだったのでレンタルショップへ行くべきかどうか逡巡していたことなどが重なってしまったのだ。

 

 

言い訳していても仕方がないので、「とりあえず、なにか観なければ!」と思い、観たのがこれ。

誰もが認める名作、千と千尋の神隠し』(2001)

スタジオジブリ作品。監督は宮崎駿。2003年、アカデミーアニメ長編賞を受賞。

「2019年に『千と千尋の神隠し』の感想書く日本人、正気か?」と思ったけれど、他でもない中西香菜さんが「初めてちゃんと観ました」と仰っていたので反省した。わたしは少なくとも10回は観ただろうな。

まずは、中西香菜さんの感想を、2019年8月23日のブログから。

はい、
こないだ金曜ロードショーで【千と千尋の神隠し】やってて初めてちゃんと観ました!

 

昔、少し怖いシーンでやめてしまった気が😱

 

観たけどあんまり覚えてないだけかもしれないですが、


今回今の年(※原文ママ)になって観て、

不思議な世界観に引き込まれたり、

主人公の真面目で、人に優しく、真っ直ぐな性格はどこへ行っても伝わるもので、


そんな前向きな千尋を見て、子供の心を思い出させてくれたような気がします☺️☺️☺️

 


ねずみさんがとてもかわいかった🐭♡

2001年の公開当時の中西香菜さんはなんと4歳。そりゃ怖いわ。

「ねずみさん」がわからなくて数分間モヤモヤしたが、おそらく、姿を変えられてしまった坊のことだろう、と合点。「ねずみさん」て(笑)。かわいい。

 

中西香菜さんは金曜ロードショーで観たらしいので、わたしも金ローバージョンで観ることにした。毎週録画していて助かった。CMに入って即スキップするところまで中西香菜さんの真似ができる。

 

冒頭場面。サバサバした母親と、能天気な父親。千尋が何度「帰ろうよ」と言っても耳を貸さずに置いていこうとしたり、怖がって腕を掴む千尋に「そんなにくっつかないで」と言ったり、店員不在のまま食事をしたり、そういったふたりの言動に「親らしさ」を感じられない。「親らしさ」のない両親に、初めて観た小学2年生のときから不気味な違和感を抱いていたことを、観るたびに思い出す。この不気味さの演出がとても好きだ。およそ日本にはなさそうな中国風の街並みや人気がなく殺風景な様子にも疑問を抱かない両親と、トンネルをくぐる前から不気味な予感を持っている千尋の対比もよい。

橋やトンネル、川などが、異世界との境界線の役割をしているのが、神道っぽくてワクワクする。というか、世界観のすべてにワクワクする。

台湾の九份がモデルになったという湯屋のつくりや派手な飾り、街並みは中国風だし、湯屋という設定そのものや和室、ちゃぶ台、着物などは日本風だ。かと思えば、釜爺の部屋付近のコンクリートの壁にはパイプが密集していて、まるでアジアの発展途上国のようでもある。終盤に出てくるゼニーバの家には欧州の田舎のようなあたたかい懐しさも感じる。ごちゃごちゃしているが、それも生活感があってよいし(なのに神秘的!)、何より細部までしっかり作り込んであるので、いくら観ても飽きない。

「働きたい者には仕事をやる」という誓いを立てたことを悔い、しぶしぶ千尋を雇った湯婆婆が、腐れ神(ではなかったが)を相手に立派に仕事をこなした千尋を「千、よくやったね!大儲けだよ!みんなもこの子を見習いな!」と抱きしめて喜ぶシーンは、この歳になってから観ると感動する。働きを認めてくれる雇い主がいて、やさしく面倒をみてくれる先輩がいて、楽しそうじゃないか。わたしの職場もきっとそうだ。働くことがこわくなっていたわたしは、このシーンに勇気づけられた。

中西香菜さんが「少し怖いシーン」と書いていたのは、カオナシが次々と従業員を飲み込んでいくシーンだろうか。「千、欲しい…」とブツブツ呟いたり、「小娘が何を食わした?」と激怒して追いかけてきたり、千に並々ならぬ執着心を持っていて、気持ち悪くてしょうがない。たしかに、何歳になってもあまり観たくないシーンである。

中西香菜さんが言う「どこへ行っても伝わる」千尋の「真面目で、人に優しく、真っ直ぐな性格」が、後半のやや足早な展開にもしっかり重みを持たせている。両親のためにひたむきに仕事を頑張り、謎の執着をするカオナシたちにも嫌悪感を見せず優しく接し、ハクを救うためにひとり旅に出る千尋はあまりにフラットだ。だからこそ、わたしたちは彼女に感情移入し、「子供の心を思い出させてくれたような気」になる。

悲しいのが、「コハク川」は埋められてしまっていて、ハクが戻る場所はもうないのかもしれないということ。ゼニーバに八つ裂きにされる可能性だってある。「元の世界でまたきっと会える」と言ったハクは、最後に千尋の手を離してから二度と画面に現れない。この物語は、どこまでも千尋自身の物語だ。トンネルを抜けて戻った千尋は、湯屋での出来事を覚えているのだろうか。

それにしても、ここまで「説明台詞」のない作品は久しぶりに観たかもしれない。やはり、誰もが認めるスタジオジブリの傑作。素晴らしかった。

「ねずみさん」が「チュー」と鳴く場面、かわいかったね。