『親愛なるきみへ(字幕版)』ネタバレ感想
「なるべくリアルタイムで観る」と豪語していた自分はどこかへ行った。レンタル1回数百円でも、塵も積もれば山となる。というわけで、今回もAmazonプライムで無料で観れる作品を探した。
2019年8月6日のブログで紹介されていた恋愛映画、『親愛なるきみへ』(2010)。
はい、今日の映画は真野恵里菜さんにオススメしてもらった作品!【親愛なるきみへ】短いお休みで帰省している軍人の青年が偶然出会った女子大生と恋に落ちる物語です!そこから切ない物語へと、、、😢色んな感情が詰まった映画😭なんだか時間って大事だなぁと思いました!遠距離恋愛のおはなしですが、会わないとすれ違うものもあったりだとか、やっぱり時間が解決することもあれば、時間が奪っていくものもあったり、足の怪我でお休みしていた期間を思い出しました😢あの時がなかったらなとか考えちゃったりしますが、怪我をして大変なご迷惑をおかけしましたが、当たり前のことにありがたみを感じました🙏
完璧な感想。素晴らしい。わたしが書こうと思ったことは、ほとんど全て中西香菜さんが書いてくれている。…というのは言い過ぎだが、中西香菜さんの仰るとおり、時間の流れと人生のタイミングについて考えさせられる、穏やかなロマンス映画だった。
もう少し突っ込んで書くと、大きな時代の流れと周囲の環境に人生のタイミングを振り回される映画だったように思う。中西香菜さんはおそらくネタバレを考慮して「遠距離恋愛」と表現しているが、これはただの「遠距離恋愛」ではなく、軍人であるジョンと大学生であるサヴァナとの恋愛のことだ。時は2000年。おそらくイスラム地区の戦地にいるジョンと、祖国アメリカでジョンがいない孤独とたたかうサヴァナ。文通で愛を育むふたりだが、手紙が届くタイミングもまちまちで、機密事項のためジョンがどこにいるのかさえサヴァナにはわからない。そして、2001年9月11日を迎え、事態は急変する。アメリカとイスラム過激派との対立が激化し、ジョンはサヴァナと約束していた退役のタイミングを延期することを決めたのだった。そのころ、ふたりの共通の友人であるティムは、ガンに冒され余命を悟っていたが、自閉症の息子・アランを独りで残すことを心配していた。そこで、ジョンが戦地に行くのを見計らってサヴァナにアプローチをかけたのだ。「遠距離恋愛」で孤独を感じていたサヴァナは、自分を必要とするティム(と息子のアラン)を選び、結婚をする。「大きな時代の流れ=『9.11』」と「周囲の環境=戦地にいる恋人と自分を必要としてくれる隣人」とに、ふたりの関係は引き裂かれるのだ。
人生、巡り合わせなんだな。この映画は、最終的にジョンとサヴァナが結ばれるような描写で終わる。しかし、それもまた、愛の為せる業なのではなく、巡り合わせなのだろうと思う。
「会わないとすれ違うものもあったりだとか、やっぱり時間が解決することもあれば、時間が奪っていくものもあったり、(中略)当たり前のことにありがたみを感じました🙏」という中西香菜さんの感じ方も素晴らしい。時の流れに翻弄されるふたりを見て、今ある「当たり前のことにありがたみを感じ」るって、素晴らしすぎないか? こういうところが本当に好き。大好き。
何度も繰り返される「コイン」のエピソード、「Dear 〇〇」から始まる手紙、自閉症のジョンの父親の温かさ、ジョンとサヴァナが歌う挿入歌「Paperweight」が、この映画を美しく、穏やかに運んでいった。美しい小説を読んでいるようだった。と思ったら、原作は小説なのか。これが邦画だったら原作を読んだかもしれないが、翻訳した恋愛小説を読んでも美しさを感じられるのかどうか不安があるため、見送ることにする。
中西香菜さん、今回も素晴らしい映画を紹介してくれて、ありがとう。